個人向けスタイリストとして独立して9年。これまでに様々な職業の方のファッションコーディネートを担当してきました。その中でも少し変わった職業というのが、「政治家」のお客さまです。あまり表立っては言えないですが、国会中継を見ると、私がスタイリングを担当したことのある政治家の方が数名いらっしゃいます。
政治家とファッション。正直言って、とても縁遠いように思うかもしれません。ところがそれは大きな誤解です。政治家の方は昔からスーツをオーダーで仕立てている人も多いですし、着こなしにこだわりを持っている方も少なくありません。たとえば麻生太郎さんは特に印象的ですね。
政治家のファッションといえば、なんといってもスーツスタイル。よく見てみると、素敵に着こなしている方もいれば、野暮ったく見える方もいます。「自分の見え方」を客観的に管理できているかどうかは、今の時代においてはますます重要度を増しています。
政治家=見られる立場
なぜ政治家の方にとってファッションが重要なのかというと、それは「人に見られる機会が圧倒的に多いから」です。選挙活動から「人に見られる機会」は一気に増え始めます。選挙ポスターを思い浮かべてみてください。自分のプロフィール写真が街中に張られるわけです。この1枚のポスターにどんなメッセージ性を持たせるのかはものすごく重要です。親しみやすさ、清潔感、信頼感など、人によって「得たい印象」は変わります。それに合わせて、選挙ポスター用でどんなスーツを着るのか、ネクタイは何色がいいのか、表情はどんな雰囲気がいいのか、僕はスタイリストとしてこの辺りまでしっかりとサポートをさせて頂いています。
たった1枚のプロフィール写真が持つ印象力は非常に強いです。この段階で「生理的に受け付けない」とか、「うさんくさい」と思われてしまうと非常に不利になります。肝心の中身、政策に目を向けてもらうためには、ファッションによる見せ方にもある程度はこだわる必要があります。
この辺りに秀でているのはアメリカです。政治家にファッションの専門家が付くことは珍しくありません。そしてこのような流れが日本にも確実に根付いてきていることを実感しています。「自分の見せ方」にようやくスポットライトが当たり始めたと言えるでしょう。
小泉進次郎氏に見る「着こなし力」とは?
どんな着こなしが良いのかは人によってまったく違います。テーマカラーを設けて、しっかりとイメージ戦略をすることもあります。人は「どんな話をしているのか」よりも、「どんな人物が話をしているのか」にまずは意識が向かいます。
野暮ったく、清潔に感じられない政治家よりも、こぎれいな印象の政治家の方が説得力が増すというのは何も不思議なことではありません。小泉進次郎さんなんかはまさに好例です。着こなしは非常にオーソドックではありますが、とても上品にスーツを着ています。ネクタイを外したスタイルもこなれています。
実は小泉進次郎さんがスーツを選んでいる際に、たまたま隣で僕もスタイリングをしていたことがあります。ものすごく忙しい日々の中でも、しっかりとスーツ選びをされているのが伝わってきました。お店は明かせませんが、僕が普段スタイリングでよく使うお店で買い物をしていました。センスのいいお店でしっかりとスーツを選んでいるのだな〜というのを目の当たりにして、進次郎さんの人気の秘密が垣間見れたような気がしています。
ファッションは「個人の趣味」ではなく、「ビジネスツール」
政治家というファッションとは縁遠い世界でも、「自分が第三者にどのように見えるのか」はとても重要になります。そしてこれは政治家だけではなく、経営者もまったく同じです。日々、人前に立ち、多くの注目を集める経営者が、ファッションにある程度気を配るべきなのは言うまでもありません。ファッションは「個人の趣味」ではなく、ビジネスの場面で有効に活用すべき「武器」なのです。これを意識できるかどうかは、大きな差を生みます。
みなさんの着こなしはいかがでしょうか? 多くの人の目に触れて、良い印象を与えられているでしょうか? ファッションで目立つ必要はまったくありませんが、誠実で品のある着こなしは、あなたの信頼感を大きく高めてくれます。
優れた経営者やビジネスマンはファッションを上手に活かしています。ファッションは個人の趣味ではなく、ビジネスの一部。ぜひ頭の片隅に置いてみてください。
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