
今回は経営者のスーツスタイルにおける「ネクタイの役割」について考えてみたいと思います。
ネクタイと言えば、身体の中心に位置するアイテムです。防寒のためでもなく、何か機能があるわけでもない、いわば「ビジネスの象徴」としての役割を果たしています。最近ではクールビズを始めとしたスーツスタイルのカジュアル化の影響で、少しずつ簡略化される機会も増えてきているアイテムです。
しかし、経営者のファッションにおいてネクタイというのはもっと重視されるべきものです。周囲が少しずつクールビズの方向へ流れているからこそ、ビジネスシーンでネクタイを締めるということが大きな差別化になります。
私も普段、経営者の方のスタイリングを担当する際には、あえてネクタイをしっかり締めるようにお伝えさせて頂いています。なぜなら本来スーツスタイルにネクタイというのはあって当然のものだからです。そこにネクタイがないというだけで、視覚的な違和感が生じるからです。
スーツスタイルというのは、本来ネクタイありきで設計されているものなので、ネクタイを締めた方が断然素敵に見えます。それにネクタイを締めた方が、カチッとして見えるため、ビジネス上での信頼感は遥かに増します。仕事のできる経営者は、ノーネクタイではなく、あえてネクタイを締めるということを意識している。ぜひこれを再認識して頂きたいと思います。
ネクタイは徹底的に断捨離することをおすすめします。
社会人生活が長くなると、ネクタイの数は年々増えていくものです。中には100本近くネクタイを持っているという人に出会ったこともあります。特に経営者の方は、人からネクタイをプレゼントされる機会も多いため、どんどんネクタイが増えてしまうのです。
ところが、どんなにネクタイをたくさん持っていたとしても、よく使っているものはその中でもせいぜい5本程度なのです。たくさんのネクタイをかわりばんこに何十本も使い分けている人に出会ったことはありません。
まずネクタイにおいてすべきことは、ほとんど使っていないネクタイを手放すことです。「よく使う5本」だけを残して、あとは捨ててください。なぜネクタイの整理が大切なのかというと、多くの方は「既に持っている色・柄」のものは、新しく買わないという傾向があるからです。
その結果、「ちょっといつもと違ったものを買おう」という意識が働き、どんどん使い勝手の悪いネクタイが増えてしまうのです。まずは一旦リセットしましょう。これまで買い集めたネクタイを見直して、数を徹底して減らす。これが重要なのです。
実はネクタイにも流行があります。10年前のネクタイ柄はやはり古臭さが漂います。それに5年を過ぎれば、どんなネクタイでもそれなりにへたれてくるものです。どんなに高いブランドのネクタイでも、素敵に見えなければまったく意味がありません。ぜひこの機会に5年以上前のネクタイはどんどん手放してみてください。
ネクタイはどこで買うべきなのか?

ではネクタイを新調する際には、どんなことを意識すべきなのでしょうか。まずは「ネクタイをどこのお店で、どれくらいの価格で買う必要があるのか?」から考えていきましょう。
間違っても1本2000円程度の安価なネクタイは買わないようにしましょう。通販やアウトレットなどでネクタイを買うのもあまりお薦めしません。目安にしていただきたいのは、経営者の方であれば、1本8000円〜1.8万円ほどのネクタイがおすすめです。
ちなみにネクタイは5本もあれば十分すので、数よりも質を重視してください。買ったけどほとんど使わない派手なネクタイをいくつも持つよりも、使い勝手も良く、上質なネクタイを5本持っている方が遥かに素敵に見えます。
お店だと、ビームスFやユナイテッドアローズ、バーニーズニューヨークなどのセレクトショップでの購入をおすすめします。これらのお店では世界的にも有名な、ドレイクスやステファノ・ビジなどの「ネクタイ専門ブランド」のアイテムをしっかりと取り扱っています。これらはとても品質が良いので皆さんにお薦めできます。
セレクトショップのオリジナルのネクタイもまたよく出来ていますので、これらを購入するのも良いでしょう。価格はおよそ1万円〜1.8万円くらいになります。安くはありませんが、ブランドネームが乗っかっていないので、コスパの良いネクタイと呼べます。
「ブランド物のネクタイ」にはご注意を。
一方で、ブランド物のネクタイには注意が必要です。グッチやアルマーニ、エルメスなど、誰もがよく知るブランド物のネクタイを大切に使い続ける人もいますが、特にブランドロゴが前に出たようなデザインはあまり素敵には見えません。
ほとんどの場合は自己満足であり、むしろブランドネームが前に出過ぎるのは、センスが悪く見られてしまいますので注意が必要です。これらのブランドのモノは、使う方のセンスが非常に問われますので、あまり安易に手を出さない方が良いでしょう。価格も決して安くありません。
ファッションセンスが磨かれ、ブランドの使い方を熟知した上でこれらのブランドを取り入れるのであれば、もちろん素敵に着こなせます。ただし、いきなり初心者がブランドネームに惹かれて買うべきではないということを意識しておくと良いでしょう。
実は「無地のネクタイ」が最強です。

続いて色・柄について解説します。ネクタイには様々な色や柄がありますが、その中でも「使い勝手の良いもの」という基準で選ぶと、色はネイビー、グレー、ブラウンをベースとしたものに限定すると良いでしょう。一方で柄は、シンプルな無地、またはレジメンタルストライプを揃えておくと便利です。
ネクタイというと、つい目立つ柄物に目がいきがちですが、上の写真のような無地のものこそ、上品で素敵な印象を与えることができます。無地といっても、少し織柄の入ったものを選ぶと上品に見えます。
特にストライプ柄のシャツには、柄物のネクタイを添えるのではなく、無地のネクタイでシンプルにコーディネートするのが良いでしょう。
レジメンタルストライプの選び方

ネクタイの定番柄と言えば、レジメンタルストライプがすぐに思い浮かぶ方が多いと思います。誰もが一度は買ったことのある柄だと思います。ストライプ柄を選ぶ際に注意したいのが、使っている色の数です。あまり多色使いのものではなく、2〜3色以内で構成されているものを選びましょう。
続いて、柄のシンプルさです。あまり凝ったものではなく、ストライプの間隔が上の写真のように広めのものを選ぶことをお薦めします。大人っぽく素敵にまとまります。色はネイビー、グレー、ブラウンベースのものを選ぶと失敗しません。
実は使いやすい「ニットタイ」

そして意外と使いやすいのが、ネイビーやブラウン無地のニットタイです。春夏のスーツスタイルに涼し気な印象を添えることができます。また無地なのでコーディネートにもよく馴染みやすいです。1本揃えておくと便利でしょう。
ちなみに上でご紹介したすべての画像はネクタイ専門ブランドの「タイステーション」からお借りしています。元ユナイテッドアローズのバイヤーをされていた方が立ち上げたネクタイブランドで、セレクトショップで並んでいるネクタイと全く同じ品質のものが、2〜3割ほど割安に手に入ります。
ネクタイは柄を選ぶのが非常に難しいのですが、こちらのショップはあえて使い勝手の良いデザインのものしか取り扱っていませんので、失敗しないネクタイ選びが出来るはずです。サイトの写真も美しいのでぜひ参考にしてみてください。
ディンプルがあるかないかで大違いです
最後に意識して頂きたいのが「ディンプル」です。ディンプルとはネクタイの結び目に付けた凹凸のことを指します。これがあるかないかで、ネクタイの見栄えは180度変わります。僕はお会いした方のファッション感度を測るときには必ず「ディンプルがあるかないか」を基準にしています。
仕事ができる経営者はディンプルをしっかりと作っています。ファッション誌を見ても、テレビを見てもそれは同じです。ディンプルとは、おしゃれに気を配る人にとってのいわば「記号」のようなものです。必ずディンプルをマスターして、日々のスタイルに取り入れるようにしましょう。
以下、ディンプルの方法を分かりやすく解説した動画をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか? 今回は経営者にとってのネクタイの重要性と、選び方のコツについてお伝えしました。実はネクタイ選びというのは、スーツスタイルの中でも最も難しいと僕は考えています。非常に多くのバリエーションがある中で、使い勝手の良いものを選ぶのは初心者にはとても難しいからです。
その中でも、まずは買うべきショップを固定すること。そして無地やレジメンタルストライプ、ニットタイを選んでみること。このルールを頭の片隅に置いておくだけで、選択肢は大きく絞られるはずです。時にはショップ店員さんの助けも借りながら、今の時代に合ったベーシックなネクタイを選んでみてはいかがでしょうか。
時代の傾向とあえて逆を行くことも大切です。クールビズが全盛期な今の時代だからこそ、クラシックにネクタイをしっかりと締めることに意義があるということを、ぜひ覚えておいてください。
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